FAN×FUN第42弾は「性感染症対策ローション開発者インタビュー」!
平成最後の夏、編集部の元に「ローションで性感染症対策を行える」というなんとも信じがたい情報が!ニューハーフヘルスでのローションといえば潤滑を良くして気持ち良くなるためのもの。そんなことできるなんて聞いたことない!それにコンドームさえしていれば攻めも受けもオッケーオッケー!……と思ってました。インタビューを行うまでは…
本日はお時間をいただきありがとうございます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
中村さん
中村さんはどのようなものを研究・開発されているのでしょうか。
化粧品の原料ですとか、サプリメントの原料などを開発しています。自分自身で開発しているものもありますし、他社から依頼を受けて開発・サポートするものもあります。あとはそれと併せて化粧品の成分やサプリメントの成分を掛け合わせたりなどという開発や、それに伴ったエビデンス、バックデータのコーディネートをしたりなどしています。
いろいろなものを開発されている中村さんですが、今回ローションを開発しようとしたきっかけはなんでしょうか。
基本ローションを開発しようとしたわけではないんですね。そこに配合している植物の原材料、ニガヨモギというのですが、それの研究を10年以上行っていまして。ニガヨモギがいろいろな菌を抑えたりとか、ウィルスを抑制するであろう働きがあると思われていたのでそれをずっと行っていたんですね。
「ニガヨモギ」は、ヨーロッパに多く自生するヨモギ科の一種で、強い苦味を持ち、古くから薬用やリキュールの素材として使用されている。
僕も海外に行ったりするのでわかるのですが、非常に日本を含めて性感染症がすごい増えていて。
あと性感染症以外でもいろいろなウィルスが増えているじゃないですか。感染する経路って性交渉の確率って結構高いんですよね。そうでなければ咳で移ったり、あとその人の嘔吐物や排泄物をさわったりなどあると思うのですが、それらを除くと性交渉が多いのではないか。
結構その中にも深刻な病気もありますから。今あまり報道されてないけどすごい増えてますし、抑えられるものがなんかないかなーって思ったんです。そうなると男女間の膣性交よりも肛門性交の方がめちゃめちゃリスキーなので。
そうですね、男女ともにAFのほうが確率は高いですね。
そうするとおのずとお尻で使うローションになるかなーと行き着いただけですね。
アイテムとしてニガヨモギをお尻に使うローションの中に配合してあげるとウイルスとか性病の感染拡大の抑止にはなるかなと思って。それがきっかけですね。
なるほど。そのニガヨモギを使った製品の…
化粧品の防腐剤の代わりが一番最初です。その植物自体が…お酒って飲まれます?
飲みますね。
アブサンってお酒ご存知ですか。
実際に飲んだことはないですが知っています。
それの元がニガヨモギなんです。
お酒として市場に出回っていますが、化粧品の防腐剤の代わりにならないかな…というのがスタートですね。
そのニガヨモギが防腐剤に使えるんじゃないかというところからどんどん広がっていったということですね。
防腐剤に使えるということは菌類を抑制することができる。もっと言うと菌とウィルスは生き物として別なんですね。菌に効くからウィルスに効くかというと必ずしもそうではない。それぞれ別々に考えないといけない。じゃあまずウィルスに効くようにするのはどうすればいいのだろう、というのをまた何年か研究してきました。研究と言ってもそんなに大したことやっていないんですけどね(笑)
そうなんですか?(笑)素晴らしい研究だと思います!
では開発したローションは他のローションと比べてどのような違いがあるのでしょうか。
ローションで行こうと決めてからいろいろな製品を調べたんです。中には「雑貨」として発売されているので内容物がわからないものもあり、あぶないなーと見ていたんですが。そのようにしてローションに何が使われているのかがわかりました。実際お尻専用っていうのがなく、男女の性交渉用として使うものをお尻にも使うんだなーと思っていたのですがそれだとグリセリンが入っているんですね。
あーグリセリンは…
浣腸に使われるものですよね。お腹痛くなる人いるという。そもそも薬剤ですからね、グリセリンは。
そういう成分はやはりお尻に入れちゃいかんな、と。グリセリンが入っていないことが一番の違いです
ですが、グリセリンが入っていないというローションは市場にあると思うんです
ただ、ローションって口に入る場合がありますよね。
そうですね、流れでローションついたまま…というのは大いにあります。
口から入って気分が良くないものっていうのは…なら食品原料だけで作ればいいかなっていう。
抗菌・抗ウィルスの製品というと銀などが入ってることもあるのですが…化粧品開発している身からすると銀は口から入るとよくない。逆に今度それを女性の膣に使った場合今度女性の膣の中にいる乳酸菌を殺すことがあるので、菌交替症が起きてカンジダになるのもよくないなあと。そういった理由からも食品原料だけで作られているということと、ニガヨモギは植物なので他の抗菌作用がある製品に比べてもハードではないということですね。
さらに、風俗店のオーナーいわく働いている女の子が痔になったりするケースも多いらしいので、併せて痔のケアもできる成分も入れたらどうかと。その3つが大きな違いじゃないかと思います。
口に含んだ時に単純に害がない、ってことですよね。
食品で使っているものですからね。口に入ったところで問題ありません。でもローションこうやって(コップでグイッと飲むポーズ)飲んだらそりゃなんとも言えませんが(笑)
そうですね、ちょっとなめちゃうとかそういう感じですもんね(笑)
そんなことを思いながらいろんなローションの成分表を見ていました。 でもこのローションはそんな心配ないぞ!という感じです。
今回サンプルとしていただいたのは3倍希釈用。さすがに濃く、もったりして容器からなかなか出てこなかった。
少し黄色いのは痔のケアもできるようにと配合された柑橘系の果皮に多く含まれる成分。少しツンとした匂い(薬局で嗅ぐような感じ)がする。
3倍に薄めても、まだもったりしている。ぺろっと舐めてみると匂いから想像できた薬感のある味。
触ってみると見た目に反してサラサラしている。ティッシュでふき取るだけでローション特有のネバっと感は残らなかった。片付けが楽そう?
ニューハーフヘルスというところで遊ぶことにおいて、なぜローション選びってことが重要になってくるのでしょうか。
基本的にはお尻の穴を使うじゃないですか、やっぱり。
そうですね、AF・逆AF・前立腺マッサージなどメインとなることは多いです。
お尻の穴は基本出口なので外からの異物に対して弱いんですね。入り口じゃないので強くない。ということは非常にデリケートだし、傷もつきやすい。そして傷ついたときの治りも遅い。そう考えると、入れたり出したりしていても傷つかないようにするためには摩擦を少なくしなければならない。いいローションとは潤滑の程度が維持できるものとなると思います。
そうですね。
でもお尻って吸収はするけど水分出さないからやっぱり乾いてくるはずなんですよ。人によっては刺激されて腸液が出てくるかもしれない。とはいえたくさん出てこないですから、潤滑の程度はセーブされてしまうかなと思う。潤滑が維持できるかどうか、という意味でローション選びは重要じゃないでしょうか。
やはりニューハーフヘルスの特徴として挿れるだけではなく挿れられる、受けになるというところだと思います。なのである程度自衛の必要性があるかと。
いくら相手がゴムをしてても自分のお尻は傷つくので。
お客さんも慣れていない場合、強引に指を入れてきたりしてローションが乾いて傷がついちゃったりすることもあるかもしれません。
だからしっかり潤滑性が保たれるものが良いと考えています。
傷をつけにくくする、という点でもローション選びは重要ではないでしょうか。
今回開発されたローションは体に優しいローションということですが、科学者の観点から市販のローションを選ぶ際の注意点というものはなにかありますでしょうか。
そうですね。やはり裏にしっかり成分が書いてあるものをまず使うことです。買うときの大前提だと思います。
お店の人も販売するときは何が入っているのかわかる製品しか売らないほうがいいですね。成分がわからないというのはリスクがありすぎます。
あとは「体に優しい」というのは肛門と直腸に対する安全性ですから…まあ言ってみればどうなんですかねそのさっき話したグリセリンなんてのはもしかすると腸壁を刺激しますので。良くはないかもしれないですよね。あれは便秘の人とか手術前に無理やり出さなきゃいけないときに使いますからね。そういうことはないですから通常。まあ…どうなんだろうな…口から入っても安心できるものの方がいいんじゃないかなやっぱりね。
口に含みますよね。多分。
何かの拍子で口に入ってしまうは多分なくはないですし…
口にくわえさせるかもしれない。そう考えたらやっぱり。その辺じゃないでしょうか。まずは成分が書いてあるもの。
あと抗菌作用として使われる銀などは蓄積してしまうとか…
それも絶対そうだって言い切れないですね。化粧品原料としてみたときは、大丈夫だから一応使用されている。ただちょっと違うじゃないですか、ローションは。(肌に塗るだけの)スキンケアとは違うじゃないですか。
だから本質的なところから言うと化粧品のカテゴリーでそもそもいいんでしょうかっていう話になってくるんですよ。厳密にいうともしかすると医薬部外品になっていかないといけないのかなと。
ただ医薬部外品の効能効果の中にそれ(潤滑)もないよね、と。決められているので、効能効果は。ローションは医薬品・医薬部外品どちらにも該当しないんですよね実は。
昔は雑貨と言っていましたが…いまはだいたい化粧品にしているところが多いと思います。グレーゾーンなんですよ、用途がそもそも。だからお尻の穴の周りを、こう…キレイに整えるという(笑)
なるほどそういうニュアンスで(笑)
というイメージで留める感じですね。
結局粘膜ですもんね。お尻の中って。化粧品って粘膜に使うものじゃないですもんね。
腸って結局内臓じゃないですか。
ちょっとね、違うんですよ本当は。だからあまり言及すると…やぶへびになる。薬機法上ね。
先日、HIVウィルスに対する抑制効果が確認できたんですよ。
お〜!
特許の出願が終われば、このローションに使っている成分にそういう抑制傾向があると入れられるんですね。あくまでも、成分の働きとしてのトピックスですが。
HIVの試験があって、ある程度抑えることができることがわかりました。そういう成分を配合しているので、このローションには意味があるのかもしれない。
その「抑制効果が確認」というのは減菌…という感じになるんですか?
いえそうではなく、「HIVウィルスの抑制傾向が確認された」というのが正しい表現ですね。
実はインフルエンザ・ノロウィルスの抑制傾向も同じです。
抑制傾向というのは、活動が弱まるから移動できないよ〜みたいな感じですか?
そうですね…ちょっとマニアックな話なんですが(笑)
菌とウィルスが決定的に違うところは、ウィルスは自分ひとりで生きていけないのですが、菌は自分ひとりで生きていけるんですね。
で、ウィルスはどう生きていくかというと、宿主となる生き物の細胞に寄生するから育つこともできて、他に感染することもできるんですね。
殺し方は二つあります。
ウィルスに直接働きかけて殺す方法と、寄生している細胞ごと殺す方法がある。
このローションに入れているニガヨモギの原料って、いまどっちの方法で殺しているか不明なんですね。これを明確にするにはまた大変でして…
ですが、結果としてウィルスの数が減っているということは確認できましたので。だから「抑制傾向が確認された」なんですね。
なるほど。
実は「感染する」というイメージがよくわかっていないのですが、例えばお尻に挿れると粘膜と粘膜が接触するからウィルスが移行する、という感じなんですか?
違うんですよ、それが。HIVウィルスは特に違うんです。
基本、傷があるかないかなんですね。
そういえば昔バケツ1杯分の唾液を交換しても感染するかしないかぐらい、とか習った気がします。トイレの便座を共有しても移らないとか…
性交渉で移るというのがすごい印象にあるんですが、その定義は曖昧だったなーと今は思います。まあ子供にオーラルセックス教えるわけにもいかなかったんでしょうけど(笑)
そういったのはHIVウィルス感染者の差別を防ぐために再教育したい、というのがあったのかと思います。要はHIVウィルス感染者がいた場合側にも近寄らない、って言うんじゃないよっていう。正しい知識としてはその血液の中に入るかどうかがポイントなので。
お尻の穴の中に傷があります。
中で射精します。
で、その射精した体液の中にウイルスが混入してた場合それで相手の傷口から血液に入るとかそういうことなんですね。
なるほど。
だからローションでお尻を傷つけないってすごく大事なことなんです。あと痔にならないこと。痔というのも傷ですから。そういう意味で「傷つかない」ことが大前提。
基本的には受け側が移りやすいっていう感じなんですね。
でも、わかんないですよ。出血しちゃっててその血液が男性器の先っぽから入っってしまうと血液で尿路感染、というのもなくはないですね。
でもこれはHIVウイルスの話です。違うウィルスだと違う感染経路もありますからそれで全てではありません。
確かに前回特集で色々と性感染症について調べたんですが、HIVウィルスに感染する条件として口の中に傷がついてればという記載が多かった気がします。
だから口内炎があるってキスしてそれで感染もあるんですよね。相手の唾液の中にHIVウィルスいて、自分が口内炎。あとは歯槽膿漏。
あ〜怖い。
血液に直接アタックできる環境があるというのが一番危ないですね。 あとはコンドームをつけてね。傷があったとしても防げる。
そして今回このローションでもウィルスの移行を抑える傾向があるというか。
そうですね。移行をするときというか結局移行するときもなんらかの細胞にくっついて移行しようとするので、だからその細胞自体も殺してしまえばいいんです。
なんとなくイメージがつかめてきました!
今後、日本の性感染症の割合はどうなるとお考えでしょうか?
絶対増えますね
な、なるほど…
最近の日本は、海外からの渡航者が急増しています。さらに2020年の東京オリンピックに向けては、海外からの渡航者数がピークに達すると考えられます。
海外では、当然、HIVをはじめとしたハードな性感染症に感染している人も少なくないです。
コンドームつけるって言うのは大前提でやるべきでしょうし、それでもキスで移ってしまうものはあるから…ゆるいウィルスや菌だと。どんどん増えるだろうなーと。
日本での性感染症の増加を水際で防ぐことができるのは、風俗店かもしれないと言っても過言ではないと考えています。
海外の人って男性と女性でもできる人多いので、お尻は普通に使いますよね。
そうですね。男女関係なくすごいカジュアルにお尻を使っているイメージがあります。
そうそう。だからそう考えると病気持った人間が日本にすごいいっぱいオリンピックに向けて増えてくるなと。日本の風俗店は、国際的にもグレードが高いと言われています。当然、海外からの渡航者の中には、風俗店で楽しむことも、観光の一つになる可能性が高いです。
すでに梅毒が年々増えてしまっているというニュースがありますが、ただ「気をつけて下さい」と言っているだけですよね。何を気をつけるのかは言わないので結局自衛しろということだと思うのですが。
ただ、自衛と言っても確率は低いですが梅毒は口でも移るので…
梅毒だったらそこまで命に関わることではないですが…でも梅毒は危ないですね、特に男性なんかはね。
だからまずコンドームは絶対つけたほうがいい。
ローションでどうのこうのできるというのは限りがあるので。どんどん増えていってしまうでしょうね。なんとかしたほうがいいですよね。
先ほど、HIVなどウィルスでは抑制傾向が確認されたとおっしゃっていましたが、梅毒も抑えられるのでしょうか?
いや、梅毒については違うんですよ。あれは菌でもなければウィルスでもないので。あれはスピロヘータという別の生き物なんですね。
またカテゴリーが違う…!
梅毒スピロヘータといって菌でもない、ウィルスでもないやつなんですよ。
うにうにって、そういうやつなんです。
ちょっとあいつをやっつけるのは違う話になりますね。
さらなる研究開発っていうところで、言える範囲で結構なんですが…。
今回、開発したローションはお尻専用ローションでしたが、現在膣でも使用出来るローションを開発中です。
お尻と膣、どちらでも兼用できるようになります。
兼用になるんですね。膣とお尻で別々になるかと思いましたが。
もしかすると多くの風俗店ではそっちがスタンダードになる可能性もありますね!
このローションで下手したら未来が変わるという(笑)
わかんないですけどねー(笑)
でも手付かずの市場だからなあ。科学の世界から見ると。
でも大事なところですよね!
本日はありがとうございました!
この記事の内容は、使用されている原材料の働きについて記載しているもので、
製品の安全性や効能を保証するものではありません。
11月中旬から、一般小売用の商品が、株式会社ブイアールプランニング様から発売されます。